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呼吸器の解剖生理⑤~呼吸とは何か~

今回より呼吸器の生理学に入ります。

記事タイトルにもあるように「呼吸とは何か」ということで熱く語っていきますので心の準備をお願いしますw

では行ってみましょう!!

呼吸とは何か

Youtubeでとある先生の講義で言っていたことです。

『呼吸=換気ではない』

換気とは空気を入れかえることであって呼吸の動作の一部にしか過ぎない

呼吸とは

吸気によって空気を取り込み(換気)、肺胞で拡散によって血液中のヘモグロビン(Hb:hemoglobin)と酸素を結合させ全身に送り、組織(細胞)にO2を拡散で供給し、CO2を血流に乗せて肺胞まで持ってきて拡散で肺胞に取り込み、呼気でCO2を排出する一連の流れを呼吸という

換気、拡散(ガス交換)、運搬この一連の動作を呼吸ということになります。

その先生が言うには人工呼吸器は人工換気器と呼ぶべきといっていました。

確かに人工呼吸器の役割を考えると人工換気器という言葉の方が適切かもしれませんね。

人工呼吸器についても後日ブログで記事を作ります。

本題に入る前に、補足事項として少し解説します。

大気中のガス組成の割合と分圧

大気中には窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)が含まれています。

その割合は、N279%、O221%、CO20%となります。

(厳密にはO2が20.96%、CO2が0.04%ですが当記事ではO2が21%、CO2が0%として話を進めます)

それぞれを分圧で表すと以下のようになります。ちなみに大気圧は760Torrです。

大気中にN2は72%を占めているため、760×79%で大気中の窒素分圧(PN2)は600Torrになります。

上記の式のように大気圧×各ガスが占める割合によって各分圧を求めることができます。

よって酸素分圧(PO2)は160Torr、二酸化炭素分圧(PCO2)は0Torrとなります。

体内での酸素分圧、二酸化炭素分圧の表記

【Fig.1】

ガス交換と運搬

まず、鼻腔より取り込んだO2を気道、気管支を通って肺胞まで届け、肺胞から気管支、気道を通って鼻腔よりCO2を排出する。

これを換気と呼ぶ

何故O2を取り込みCO2は排出する必要があるのか。

細胞の活動に必要なエネルギーの生成にO2が必要であり、エネルギーを生成する過程でCO2が生成される。

このCO2が体内にたまってしまうと後日解説する酸塩基平衡のバランスを崩す要因となるため、体外に排出する必要がある。

外呼吸と内呼吸

外呼吸とは口腔、鼻腔より取り込まれたO2を肺胞から赤血球(RBC:red blood cell)内のHbが受け取る、そしてCO2が血液中から肺胞へ移動し口腔、鼻腔より排出する過程を言う。

内呼吸とは、Hbが受け取ったO2を細胞へ渡し、細胞側から不要なCO2を血液中に送り出す過程を言う。

この肺胞からRBC中のHbへのO2の移動、Hbから細胞へのO2の移動、細胞から血液中へのCO2の移動、血液中から肺胞へのCO2の移動には拡散という現象によって行われいる。

【Fig.2】

補足事項

拡散とは、濃度の違いのある分子が濃い方から薄い方へ、濃度差がなくなるまで(濃度が均一になるまで)移動する現象のこと

【Fig.3】

今回の呼吸で取り上げる拡散は濃度勾配ではなく圧力差による圧勾配(高い方から低い方へ移動)によって拡散が起こる。

ガス交換

上記補足事項でも書いているようにガス交換では圧勾配での拡散によってガス交換が行われている。

外呼吸によるガス交換

【Fig.4】

基準値

健常成人の場合

  • PAO2100Torr
  • PACO240Torr
  • PVO240Torr
  • PVCO245Torr
  • PaO2100Torr
  • PaCO240Torr

PAO2とPvO2の分圧差により拡散が起こり、O2肺胞から血液中へ拡散する。

PACO2とPvCO2の分圧差により拡散が起こり、CO2血液中から肺胞へ拡散する。

拡散が終わるとPaO2=PAO2、PaCO2=PACO2となる。

※外呼吸でのPvO2、PvCO2は混合静脈血を指しており、本来は【Fig.3】で書いている表記となるのですが、ブログ上でーが表示できないのでPvO2、PvCO2と表記しています。

ここで混合静脈血のガス分圧で拡散しているならPAO2は下がって、PACO2は上がるのではないの?と思った人もいると思います。

ナイス疑問です!!

実際には換気は常に行っていますよね。そのためPAO2=100Torr、PACO2=40Torrはほぼ一定になっています。

ではここで息止めをしたらどうなるでしょう。

息止めしても血液の循環は止まりませんので、拡散は起こり続けます。

その結果、PAO2は下がっていき、PACO2は上がっていきます。そうすると苦しくなって意識がある状態、気道が閉塞していない場合では呼吸し始めますよね。

これが、前回の解剖の記事で説明した化学受容体の働きによるものです。

注意

混合静脈血は吸気(PIO2、PICO2)との間で拡散しいるわけではなく肺胞気(PAO2、PACO2)との間で拡散が起こっているので混乱しないようにしましょう

内呼吸によるガス交換

【Fig.5】

PtO2とPaO2の分圧差により拡散が起こり、O2血液中から組織へ拡散する。

PtCO2とPaCO2の分圧差により拡散が起こり、CO2組織から血液中へ拡散する。

拡散が終わるとPvO2=PtO2、PvCO2=PtCO2となる。

ガス運搬

O2やCO2の運搬にはRBC(特にHb)が重要な役割を果たしている。

【Fig.6】

HbはO2が豊富なところ(肺)ではO2を放しにくく、O2が乏しいところ(組織)ではO2を放しやすい特性を持っている。

この特性を示しているグラフを酸素解離曲線といいます。

【Fig.7】

①酸素分圧が高い領域

縦軸を見ると90~100%になっています。これはHbが酸素を放さないでほとんど(または全て)持っている状態を表します。

②酸素分圧が低い領域

縦軸を見ると50~90%になっています。これはHbが50~10%の酸素を放している状態を表します。

ちょっとトラックと工場と倉庫で例えてみます。

【Fig.8】

工場:肺胞、トラック:Hb、倉庫:組織、道路:血管

  1. 肺胞という
    名の工場からO2をたくさん積んだトラック(A)が出発
  2. ①倉庫では酸素があるので必要ないとのことでトラック(B)からは酸素を下ろさずに通過
    (これがFig.3の①酸素分圧が高い領域)
  3. ②倉庫では酸素が足りないとのことなのでトラックからO2を下ろして出発
    (これがFig.3の②酸素分圧が低い領域)
  4. O2が少なくなったトラック(C)はO2を積みに工場へ戻る

酸素解離曲線の横軸は工場の残O2量、縦軸はトラックのO2積載量を表しているイメージです。

酸素解離曲線の右方移動

体が酸素不足に陥ると酸素解離曲線は右側に移動します。

そのため、低酸素状態ではHbとO2の親和性が低下しO2を放しやすくなります。

右方移動の要因

局所的に関わる要因

  • CO2分圧上昇
    組織での代謝亢進によって組織中のCO2分圧が上昇、結果HbがO2を放しやすくなる
  • pH低下(H+上昇)
    組織での代謝亢進によって組織中の酸素が不足し嫌気性解糖上昇→乳酸上昇によってpHが低下、結果HbがO2を放しやすくなる
  • 組織の温度上昇
    組織での代謝亢進によって組織中の温度が上昇、結果HbがO2を放しやすくなる

全身に関わる因子

  • RBC内での2,3-DPG上昇
    低酸素状態により2,3-DPGが上昇、この2,3-DPGがHbとO2の結合を阻害する結果HbがO2を放しやすくなる

CO2分圧、pHの変化で酸素解離曲線が左右に移動することをBohr(ボーア)効果といいます。

では、運動時の筋肉における酸素解離曲線を例にして右方移動についてみていきます。

【Fig.9】

上図の右方移動では酸素分圧が100Torrから40Torrに下がった場合、右方移動前に比べてA分(この場合25%分)多く放出していることになります。

※黒の線が右方移動前、紫の線が右方移動後のグラフです。

血液中でのCO2の運搬方法

RBCのHbはCO2とは直接結合しません。

ではどのようにして運搬されるのでしょうか。【Fig.10】は赤血球内におけるCO2の変化を図解したものです。

【Fig.10】

正直よくわからないと思いますパパもわからないのでw

そして、すべてを覚える必要はないと思いますパパも覚えていないのでw

ただこの図中で重要なのが、

  • RBC内に入ったCO2炭酸脱水酵素(CA:carbonic anhydrase)によってH2CO3に変換されるということ
  • HCO3の濃度がRBC内>血漿中となると、拡散により血漿へ移動するということ
  • HCO3が血漿中に移動すると、電気的中性を保つために血漿中のClがRBC内に移動してくるということ

CO2約85%はRBC内ではHCO3に変換されて血液中を運搬されて、肺胞の近くに来ると再びHCO3はCO2に合成される仕組みになっています。

HCO3に変換する他に血漿蛋白質と結合してカルバミノ化合物として運搬されるのが約10%遊離CO2として血漿中に溶解するのが約5%となって肺胞付近まで運ばれます。

O2分圧の上昇に伴って、HbとCO2が離れやすくなる現象をHaldane(ホールデン)効果といい、多くのCO2を肺胞で排出することができる。

死腔

漢字単品で見るとGoogleさんよりペナルティくらわないか心配ですが、大事なことなので言い回ししないで書いていきます。

ちゃんとした解剖学的用語なので大丈夫だよね。。。うん

box class=”box22″ title=”解剖学的死腔とは”]

ガス交換を行われない所=ガス交換に関するデッドスペース

具体的には鼻腔・口腔~終末細気管支までの部分のことを言います。

このガス交換が行われない鼻腔・口腔~終末細気管支までのことを解剖学的死腔と呼びます。

[/box]

正常な成人の1回換気量(VT:tidal volume)は約500mLである。

このうち約350mLははいほうまで到達しガス交換が行われるが、残りの約150mLは鼻腔・口腔~終末細気管支に残っており、ガス交換が行われない

死腔の増減要因

死腔は様々な要因によって増減する。

  • 性別
    男性>女性
    女性よりも男性の方が死腔量が多い
  • 年齢
    高齢>若年
    高齢者ほど死腔量は多くなる
  • 体位
    立位>仰臥位
    仰向けに寝ているときよりも立っているときのほうが死腔量が多い
注意

ここで言う死腔とは解剖学的死腔のことではなく、後述する生理学的死腔のことを指しているので間違わないように!

生理学的死腔

先ほど説明した鼻腔・口腔~終末細気管支のガス交換に関与しない解剖学的死腔と肺胞死腔(次回記事にて説明します)を合わせたものを生理学的死腔と呼ぶ

正常な肺の場合、肺胞死腔は生理学的死腔の20%以下である。

【Fig.11】

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