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呼吸器の解剖生理⑥~換気と血流~

前回より生理学分野に突入しました。

今回の次回(8月9日更新予定)の記事で呼吸器の解剖生理は完結します。

では今回は、ガス交換に重要なかかわりのある換気量と血流量について解説していきたいと思います。

換気血流比

肺は無数のガス交換単位(肺胞と対応する毛細血管)の集合体である。

(【Fig.1】の肺胞と血管の組み合わせがたくさんあるというイメージです)

【Fig.1】

理想的なガス交換

全てのガス交換単位において換気血流比が均等であるときの肺胞気ガス組成が理想肺胞気である。

肺胞気が理想肺胞気であれば最強のガス交換ができる。

この時、すべてのガス交換単位において『拡散障害』、『右-左シャント』がなければPaO2は理想肺胞気のPAO2と同じになる。

PAO2が100Torrの場合、PaO2も100Torrとなる

 

【Fig.2】

現実的なガス交換

理想的なガス交換とは重力の影響を受けていない状態のことを言っており、現実的には重量の影響を受けている。

そのため、各ガス交換単位における換気血流比は部位ごとに異なるためガス交換の効率は少し悪くなる。

このことを『生理的な換気血流比不均等分布』という。

また、健常人でも少し右-左シャントが存在する。

これらを踏まえると現実的なガス交換ではPAO2よりはPaO2は少し低下しています。

だから、PaO2の正常値は90~100Torrと示されている。

【Fig.3】

実際の換気量・血流量の分布

換気量の分布【Fig.4上段】

重力の影響により、肺尖部では肺の重さがかかるため肺胞が引き延ばされて広がった状態となっているが、肺底部ではあまり重さがかからないため肺胞はあまり引き延ばされずあまり広がっていない

このため、肺尖部と肺底部での換気をした際の肺胞の膨らみ方(換気量)に差が生じる

既に広がりかけている肺尖部では、換気した際のふくらみは小さい、しかしあまり広がっていない肺底部では換気をした際のふくらみが大きくなる。

よって、肺尖部では換気量が少なくなり、肺底部では換気量が多くなる

血流量の分布【Fig.4下段】

重力の影響により肺尖部と肺底部で静水圧の差が生じる

静水圧は肺尖部で低く、肺底部で高くなるので、肺尖部の血管内圧は低く、血管径が狭くなるので血液が流れにくく、肺底部では血管内圧が高く、血管径が広くなるので血液が流れやすくなる。

よって、肺尖部では血流量が少なく、肺底部で血流量が多くなる

補足説明

イメージとしての実験

血流量の分布がこれというわけではないが、液体は重力によって下に溜まりやすいということを再現してみました。

これは血液だけでなく、胸水もこのような感じになります。

極端なイメージですが参考までに

【Fig.4】

シャント様効果と肺胞死腔

肺の病気によるガス交換異常には、シャント様効果肺胞死腔の2つがある。

【Fig.5】

理想

肺胞内に取り込まれたO2がすべてdeoxy-Hbと結合してoxy-Hbとなり動脈へ流れている状態

シャント様効果

肺胞内に取り込まれたO2が少なかったり(肺胞の虚脱や肺胞が膨らみにくい状態)、O2は通常通り取り込まれても、肺胞と毛細血管の間の間質に問題があり拡散が上手くいかず、肺胞内のO2と結合できないdeoxy-Hbが動脈に混入している状態

肺胞死腔

毛細血管が血栓などにより狭窄または閉塞し血流が減少したり途絶えたりすると血管内のdeoxy-Hbの量が減少する、肺胞には通常量のO2が流入してきても結合できるdeoxy-Hbが少ないため肺胞内にO2が残っている状態

 

補足説明

oxy-Hb(オキシヘモグロビン)

酸素と結合したHbのこと

酸素化ヘモグロビンとも呼ばれる

deoxy-Hb(デオキシヘモグロビン)

酸素と結合していないHbのこと

還元ヘモグロビン脱酸素化ヘモグロビンとも呼ばれる

換気血流比不均等

正常な状態でも生理的な換気血流比不均等分布があるが不均等の度合いはそこまで大きくなくガス交換には影響が出ない。

肺の病気により換気や血流が障害された場合、【Fig.7】、【Fig.8】のように換気血流比不均等の度合いが大きくなり、換気と血流の総量が同じであっても効率的なガス交換ができず低酸素血症となってしまう。

正常な状態

【Fif.6】

シャント様効果状態の場合

【Fig.7】

肺胞死腔状態の場合

【Fig.8】

一見すると、病変ではない部分が病変部の分を補おうとしているようにみえるが、結果としては補えていないので低酸素血症になってしまう

病変部の換気量が減少すると、病変部ではない部分の換気量が増加

病変部の血流量が減少すると、病変部ではない部分の血流量が増加

しかし、換気量が増加しても血流量が増えるわけではないのでdeoxy-Hbと結合できないO2が肺胞内に残ってしまう【Fig.7】

また、血流量が増加しても、換気量が増えるわけではないのでO2と結合できないdeoxy-Hbがそのまま動脈に流れていく【Fig.8】

一見、換気量も血流量も低下すれば、換気血流比不均等は解消されるのではないかと思いますが確かに不均等は解消されるが、総量も減少するので結果的に低酸素血症になってしまう。

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