前回は肺と肺血管についての勉強をしました。
今回は胸腔と胸郭、呼吸運動などについてざざっと勉強していきたいと思います。
胸腔と胸郭
かご状骨格構造の骨性胸郭と付随する筋から構成されている。
胸郭の壁を胸壁、胸壁で囲まれた内部空間を胸腔と呼ぶ。
【Fig.1】
胸郭を構成する骨は、胸骨、肋骨、肋軟骨、胸椎の4つである
胸骨とは、胸骨柄、胸骨体、剣状突起の3つを合わせて胸骨という。
胸骨という1つのほねではないということ
第1肋骨~第10肋骨は肋軟骨を介して胸骨と連結しているが第11肋骨と第12肋骨は胸骨には連結していない。
肋骨や胸骨は体表からの位置を把握する指標として重要な目印となるが、パパの経験上結構難しいです。
体表から肋骨や肋間を触診で確認してもうまく第〇肋骨だとういうのがわからない
胸骨は第1肋骨~第12肋骨まである。
肋間とは肋骨と肋骨の間のことでこちらは第1肋間~第11肋間までしかない。
【Fig.2】
【Fig.3】
呼吸筋
外肋間筋、内肋間筋、横隔膜など呼吸の呼気、吸気の際に関与する筋を総称して呼吸筋と呼ぶ。
呼吸筋を動かすことで胸郭内容積を変化させることで間接的に肺を伸展・収縮させて呼吸をしている。
吸気時には、横隔膜、外肋間筋が関与しこれらを吸気筋とも呼ばれ、逆に呼気時には内肋間筋が関与しこれを呼気筋とも呼ばれている。
呼吸の大部分は横隔膜の弛緩・収縮によって行われているが、換気量が増大した際は外肋間筋、内肋間筋とその他斜角筋、胸鎖乳突筋、腹壁筋などの補助呼吸筋と呼ばれる筋も働く
吸気と呼気どちらにエネルギーを要するか それは吸気です。
吸気時は吸気筋の収縮する力で胸郭を広げています。
しかし、呼気時は極端な話吸気筋が元の位置に戻ろうとする力なのでそれほどエネルギーは使用しません。
あくまでもこれは安静時呼吸のときのはなしであって、運動時などは例外です。
呼吸運動
前項でも少し呼吸運動について触れましたが本項では呼吸運動に焦点を当てて話をしていきます。
腹式呼吸と胸式呼吸の違い
腹式呼吸では、横隔膜の収縮、弛緩運動により胸郭を上下に動かして胸郭内容積の増減を行っている。
胸式呼吸では、横隔膜と(内・外)肋間筋の収縮、弛緩運動が加わり、胸郭を上下、前後、左右に動かして胸郭内容積の増減を行っている。
安静時呼吸の大部分の呼吸は横隔膜が担っている。
上記のことより、『胸式呼吸>腹式呼吸』と胸式呼吸の方が胸郭内容積を増加させることができます。
その分胸式呼吸では複数の筋の収縮を行うので消費されるエネルギーも多くなります。
実際に、腹式呼吸と胸式呼吸どちらが楽ですか?腹式呼吸の方が楽で自然とできますよね?
呼吸運動と換気
肺自体は自分で膨らんだり縮んだりすることができません。
そのため、横隔膜や呼吸筋が収縮・弛緩することで起こる胸腔内圧の変化によって肺は膨らんだり縮んだりします。
(横隔膜や呼吸筋は能動運動、肺は受動運動)
胸腔内圧は常に陰圧であり、外側への力が働いている。
一方で肺の弾性力(肺弾性力)は内側への力が一定量で働いている。
よって肺の進展と収縮のほとんどは胸腔内圧の変化によって行われている。
胸腔内圧 | 肺弾性力 |
吸気時:陰圧が強くなる呼気時:陰圧が弱くなる | 吸気時、呼気時ともにほぼ一定 |
吸気のイメージ
- 横隔膜が収縮
- 胸郭内容積が増加
- 胸腔内圧が低下(陰圧が強くなる)
- 肺が膨らむ
- 肺内に空気が取り込まれ、吸気が起こる
【Fig.4】
呼気のイメージ
- 横隔膜が弛緩
- 胸郭内容積が縮小
- 胸腔内圧が上昇(陰圧が弱くなる)
- 肺が縮む
- 肺内の空気が排出され、呼気が起こる
【Fig.5】