本日より循環器の解剖生理に突入します。
といっても循環器の解剖生理は2、3記事で完結する予定です。
(あくまでも予定です。まだすべての記事を作っていないので)
いつも記事をつくるときにどこまで踏み込んだ内容にしようか迷いながら執筆しているので、気分によって深堀することもあるし、浅くとどめるときもあります。
また、記事中に掲載している画像も時間があるときに作成しているので凝った絵になったり、簡素化した絵になったりとその日の気持ちが記事や図に現れるパパです。
そろそろ本題に戻り、『心臓の解剖について』スタートします!
僕が勉強の参考にしている書籍の一部を紹介しています
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心臓の解剖
心臓は大よそ握りこぶしくらいの大きさをした管腔臓器(管=血管、腔=心房、心室)で、胸骨と第2~第6肋骨の背面に位置している。
心尖部は左前下方に向いている。
重量は、成人で大よそ250~300g程度ある。
右心系は左心系の前方に位置してしる。
(胸部を正中切開して開胸して見えている部分が右心系というイメージ)
心耳とは本来の心房であった部分で、内部に櫛状筋と呼ばれる筋性の塊がある。
【Fig.1】
【Fig.2】
心臓の内腔は4つの部屋に分けられている。
右心房(RA:right atrium)、右心室(RV:right ventricle)
左心房(LA:left atrium)、左心室(LV:left ventricle)
RAとRVの間には三尖弁(TV:tricuspid valve)、左心房と左心室の間には僧帽弁(MV:mitral valve)が存在し心室から心房への逆流を防ぐ役割がある。
RVと肺動脈(PA:pulmonary vain)の間には肺動脈弁(PV:pulmonary valve)、LVと大動脈(Ao:aorta)の間には大動脈弁(AV:aortic valve)が存在し、PA・Aoから心室への逆流を防いでいる。
血液を心臓から送り出すために、心室の肉柱が発達している。
左心室壁厚(成人拡張末期:7~12mm)は右心室壁厚(成人拡張末期:2~3mm)に比べて数倍厚くなっている。
また、心室内に乳頭状に飛び出している筋を乳頭筋と呼び、腱索によって房室弁(三尖弁、僧帽弁)と繋がっている。
腱索は乳頭筋の先端から伸びている線維で、房室弁が心房内に反転しないように支えている。
全身から戻ってくる血液は下大静脈(ICV:inferior vena cabe)と上大静脈(SCV:superior vena cave)を流れRAに流入する。
RAからTVを通ってRVへ流入しPAを通って左右の肺に血液が送られる。
左右の血液から肺静脈(PV:plumonary vein)を通ってLAに流入する。
LAからMVを通ってLVへ流入しAoを通って全身へと血液が送られる。
【Fig.3】
心臓の弁の役割と動き
各弁の構造
- 大動脈弁:3尖
右冠状動脈(RCA:right coronary artery)が分岐している側を右冠尖(右半月弁)、左冠状動脈(LCA:left coronary artery)が分岐している側を左冠尖(左半月弁)、冠状動脈が分岐していない側を無冠尖(後半月弁)と呼ぶ。 - 肺動脈弁:3尖
腹側に面している側を前尖(前半月弁)、右側に面している側を右尖(右半月弁)、左側に面している側を左尖(左半月弁)と呼ぶ。 - 三尖弁:3尖
中隔側に面している側を中隔尖、腹側に面している側を前尖、背側に面している側を後尖と呼ぶ。 - 僧帽弁:2尖
腹側(中隔側)に面している側を前尖、背側に面している側を後尖と呼ぶ。
上記のように、MVは2つの弁尖、MV以外は3つの弁尖によって構成される。
肺動脈弁は大動脈弁より高位かつ前方(腹側)に位置する。
弁には心筋が含まれていないため、弁の動きはあくまでも受動的運動である。
以下の図は心房を取り除き、4つの弁がすべて見えるように書いています。
拡張期
TV、MVは開口しRA→RV、LA→LVへと血液が流れ込む。
この時AVとPVは閉じているのでAo、PAには血液は流れ込まない
【Fig.4】
【Fig.5】
収縮期
TV、MVは閉じ、AV、PVが開口しRV→PA、LV→Aoへと血液が流れ込む
このときTV、MVは閉じているのでRV、LVからRA、LAへの逆流は起こらない。
【Fig.6】
【Fig.7】
刺激伝導系
【Fig.8】
心臓には自ら活動電位を発生させることができる特殊心筋から構成される伝達路がある、これを総称して刺激伝導系と呼ぶ。
この刺激伝導系により神経からの伝達なしに収縮するすることができる現象を自動能と呼ぶ
本来、筋肉は脳などから神経を介して指令が伝達されて、収縮、弛緩を行っている。
しかし、心臓は自ら活動電位を発生させることができる特殊心筋の活動により収縮を行っているということ
房室結節、洞結節は自ら調律を作っており、洞結節では約70bpm、房室結節では約40bpmのリズムを発生させている。
房室結節は洞結節からの刺激に応じて興奮しており、心房と心室の同時収縮を防いでいる。
しかし何らかの障害により、洞結節からの刺激が房室結節に伝わらなかった際は、房室結節が興奮の発生源となり約40bpmで房室結節以下の刺激伝導系に刺激を伝えている。
心内膜・心筋・心外膜
心膜の線維組織は大動脈・肺動脈の外膜に融合して結合している。
心膜は前方(腹側)では胸骨、後方(背側)では脊柱、下方では横隔膜に付着している。
【Fig.9】
心筋は横紋筋であり、不随意筋である(意思によって動かせない)
心筋は固有心筋と特殊心筋に分類される。
(固有心筋とは作業心筋とも呼ばれ、心房筋、心室筋が該当する)
上項でも説明した通り、特殊心筋は自動能を有している。
心臓における機能血管と栄養血管
機能血管
全身からの血液を心臓に流入させるSVC、IVC、全身に血液を送るためのAo
心臓から肺へつながるPA、肺から心臓へつながるPV
以上5つの血管が機能血管となる。
栄養血管
心臓の栄養血管は大動脈起始部のValsalva洞(バルサルバどう)から左右に分岐するLCA、RCAである。
LCA、RCAはAHAによる冠状動脈の区画分類があるがそちらに関しては後日『心臓カテーテル検査』の記事で詳しく説明しますので今回は割愛します。
栄養血管の静脈の多くは冠状静脈洞(CS:coronary sinus)に合流して、RAに流入する。
また、中にはCSを介さずにRAやRVに流入する静脈もある。
【Fig.10】
【Fig.11】
こちらの冠状動脈の図は、『看護roo!』というサイトのフリー素材を使わせていただきました。
体循環と肺循環
【Fig.12】
体循環
O2や栄養等を運搬・供給するための血液が心臓から全身組織に送られ、CO2や不要物を運搬・排出し心臓に戻ってくる循環のことである。
肺循環
全身から戻ってきた血液をガス交換するために心臓から肺に送られ、ガス交換を行った後に心臓に戻ってくる循環のことである。
体循環の大半は動脈に動脈血が流れ、静脈に静脈血が流れているが呼吸器の解剖生理でも説明しているように肺循環では肺動脈を静脈血が流れ、肺静脈を動脈血が流れている。