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【血液浄化療法】CRRT – continuous renal replacement therapy –

本記事のレベル
  • 臨床工学技士養成校の学生
  • 新人臨床工学技士
  • 初めて急性血液浄化業務に従事する臨床工学技士
  • 集中治療室などでCRRT患者を受け持つことがある看護師

上記の方へ向けた記事となります

以前の記事では血液浄化療法の種類をザックリと紹介しましたが今回はもう少し深く掘り下げていきたいと思います。

今回は第二弾としてCRRTついて詳しく解説していきます。

CRRTとIRRTの違い

IRRTとCRRTの違いはザックリいうと、短時間で除去効率よい治療か長時間かけて除去していく治療かという違いです。

各種治療条件の単位を比較

IRRT CRRT
血液流量 mL/min mL/min
透析液流量 mL/min mL/hr
補液流量 mL/min mL/hr
濾過流量 mL/min mL/hr
除水速度 mL/hr mL/hr

血液流量、除水速度に関しては同じ単位であるが、その他の項目に関しては1分間あたりなのか、1時間あたりなのかで大きく差がある。

そのため、緩徐な治療ができ、循環動態の不安定な患者などでも治療が可能となっています。

しかし、短時間での効果は見られませんのでそこだけは注意が必要です。

CHDF、CHFに関しては、IRRTのようにOn-lineでの治療ができないので必然的に後希釈となります。

バック式の補充液で透析液と補充液をまかなうので、透析室にあるような水処理装置、溶解装置、供給装置などの大型装置が不要となり、どこでも施行ができる。

回路や血液浄化器の容量が小さく、プライミングボリューム(PV)が少ない。

CRRTの種類と回路図

IRRTに『HD』、『HF』、『HDF』があるようにCRRTにも『CHD』、『CHF』、『CHDF』の3つの治療法があります。

図1:CRRT回路図

CRRTの回路として販売されているものを組み立てると図1のような回路構成になります。

あとは治療条件の変更で、CHDF、CHD、CHFへと変更していきます。

機種にもよりますが、Aチャンバーがあるものと、ないものが存在します。

CRRTの適応

  • 急性腎不全
  • 水分、電解質、アシドーシス異常
  • 急性代謝異常、先天性代謝異常の急性増悪
  • 急性心不全、心原生ショック
  • 劇症肝不全
  • 急性薬物中毒
  • 高サイトカイン血症
    →重症敗血症、敗血症性ショック
    →ARDS
    →重症急性膵炎
    →血液関連疾患、悪性腫瘍関連疾患
    ・白血病関連疾患、治療に伴うTLS、HPS
    →血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
    →溶血性尿毒症症候群(HUS)
  • 以下の病態を持つ慢性腎不全症例
    ・極端な心機能低下をきたしている症例
    ・重篤な不整脈が存在する症例
    ・意識障害があり脳圧の亢進が疑われる症例
    ・高尿素窒素血症や高血糖のために高浸透圧血症が疑われる症例
    ・敗血症などを合併し高サイトカイン血症が疑われる症例

CRRTのメリット、デメリット

メリット デメリット
・循環動態に与える影響が少ない

・緩徐な補正が可能

・組織内に広く分布した不要物質の除去効率がよい

・水バランス、酸塩基平衡、電解質および血漿膠質浸透圧の厳密な管理が可能

・ホメオスタシスの維持に有効

・薬剤や十分な栄養を投与するためのウォータースペースの確保が容易

・簡便な装置で施行可能

・施行中の監視が必要

・患者の動きを束縛する

・抗凝固剤の長期投与による出血の危険性

・血液回路、血液浄化器内での血液凝固の危険性

・糖、アミノ酸などの有効物質を損失する

・カテーテル留置に伴う感染の危険性

・長時間治療のため医療スタッフの負担が大きい

最後に

CRRTについてまずは、さわりを解説しました。

個々で覚えておいてほしいことは原理や治療としてはIRRTと一緒であるが、IRRTと違い長時間かけて治療を行っていくということ。

また、循環動態が不安定な患者やICUで管理されている重症な患者への治療ができる。

PVが少ないことで小児、新生児領域でのRRTも可能となる。

しかし、管理の難しさ、監視の必要性、抗凝固剤の長時間投与による出血のリスク、カテーテル感染のリスクなどIRRTと比べ管理が難しいという点もある。

今後、臨床に役立つ情報も記事として書いていこうと思っています。

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参考書籍、文献

ICU/CCUの急性血液浄化療法の考え方,使い方

CRRTポケットマニュアル 第2版

こういうことだったのか!! CHDF

急性血液浄化法 2020-’21: ガイドライン,スタンダード,論点そして私見 (救急・集中治療32巻2号)

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