臨床工学技士について知ろう~第2弾~
ということで前回は『臨床工学技士とはなんぞや』と題して、臨床工学技士とは何か、どんな仕事をしているのか、今後の展望などについて書きました。
今回は、臨床工学技士の1日について説明しようと思います。
今回紹介する1日の流れは過去にパパが経験した日々を融合して紹介します。
また、その日の業務や病院によって異なるので一概にこれというものではないので参考程度に読んでいただければ幸いです。
今回は3パターンの1日を紹介したいと思います。
透析業務の1日
透析業務は1日に何クール透析を行うかで臨床工学技士(以下、CE)の出勤時間が異なります。
今回は午前の部と午後の部の2クールの場合で紹介していきます。
本来業務開始は7時からですが機器のトラブル発生時に備えて早く出勤します
パソコンや電子カルテを立ち上げ、透析液の供給装置の事前洗浄が終わり、各透析装置の自己診断が終わるのを待つ
その際に、透析中血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)などを用意する
自己診断が完了して異常がなければ、回路を透析装置につないでプライミングを開始する
プライミングが終了したら2人1組でペアを組み、ダイアライザー、抗凝固薬が指示通りのものか、回路の破損や接続に緩みがないか、気泡が混入していないかをダブルチェックで確認していく
ICU(集中治療室)で稼働しているCHDFの患者の夜間の様子や本日の検査オーダーなどを電子カルテで確認、夜勤CEからの申し送りを受ける
医師、看護師、CEで朝のミーティング
主に前回の透析時に何かイベントがなかったかなどを報告し合います。
ミーティング終了後、午前の透析患者さんを入室させて順番に透析を開始していきます。
病棟担当CEがICUのCHDFのラウンドに向かい、回路交換等のプランを立てる
事前に夜勤者からの送りで回路が固まりそうな情報があれば優先的に確認しすぐ担当医師と相談して回路交換を行う
また、ラウンドの結果回路交換が必要となりそうな場合、透析室に戻り新しい回路のプライミングを行います
その頃、透析室では残っているCEで透析が開始となった患者さんの除水計算が合っているか、正常に動作しているか、回路のゆるみなどがないかダブルチェックを行います
遅番のCEが出勤、早番のCEより現在の状況の申し送りを受ける
午後の透析患者さんで使用する物品を用意したり、透析液供給装置の稼働状況の確認や透析液製作に必要な粉の補充などを行います。
あとは、適時アラームの対処やあまり頻度は多くないがトイレ離脱を行ったり、血圧の下がった患者さんの対応を行います。
早番と8時出勤のCEがお昼休憩に入ります
病棟担当CEは昼休憩中でもICUよりCHDFのトラブルがあると出動することがたまにあります
遅番のCEは引き続き、アラーム対応などを行いながら事務作業をします
午前の患者さんの返血作業(血液を体に戻して透析を終了します)がぼちぼち始まります
空いた透析装置を清掃して午後の患者さんの回路をプライミングします
朝同様2人1組でダイアライザー等のダブルチェックを行います
午後の透析患者さんを入室させて透析を開始していきます
13時より遅番のCEがお昼休憩にはいります
病棟担当CEは午前中に立てたプランを遂行するために医師と連絡を取り合いICUに向かい回路交換をします
透析室では除水計算が合っているかなどのダブルチェックを行います
早番のCEは翌日午前の透析患者さんで使用する物品等を準備します
午前の患者さんのコストを確認して早番のCEは業務終了です
だいたいこのころになるとCHDFの稼働状況にもよりますが一通り病棟担当の業務が終了します。
本来であれば8時出勤のCEは業務終了時間ですが、遅番の人数や返血時間の重なり具合、緊急でのCHDFに備えて待機しているため、定時で上がれることはほとんどありません。
このころになると、夜勤CEがCHDFの申し送りを受けに来るので引継ぎを行います。
ぼちぼち午後の透析患者さんの返血が始まります。
午後の透析患者さんのコストを確認して、透析液供給装置を洗浄モードに切り替えて遅番の業務終了です。
返血が終わった透析装置から清掃を行って翌日午前の患者さんの物品を用意します。
大学病院や総合病院で2クールの透析を行っている病院ではだいたいこのような感じなのではないでしょうか。
業務のやり方は病院によってさまざまです。
また、パパが以前働いていた病院では小児のCHDFを年に1症例くらいある病院でした。
小児のCHDFは何が起こるか予測ができず、高度な知識・技術・経験が必要で数名しか経験がないという状況でした。
そのため、いくら夜勤CEがいたとしても対応はパパを含めた数名で行うかたちでした。
小児科医との信頼関係の兼ね合いもあり。。。
その際は、すべての透析業務を終えた後、再度ラウンドしたり夜勤CEにチェックポイントをアドバイスしたりしてから帰宅していました。
このとき何かしらのトラブルが発生した場合、引き続き業務をしていました。
手術室業務の1日
※人工心肺業務ではありません
今回は、脳神経外科手術の神経モニタリング業務を例に書いています。
夜勤CEより血液ガス分析装置が正常に動作しているかの申し送りを受ける
この日担当する手術室へ使用機器の搬入を行い、モニタリングに必要な物品を用意する
入室の手伝いをしながら、モニタリングに必要なセンサーなどを患者さんに付けていく
麻酔導入しルートなどを医師が確保し終わったら本格的にモニタリングの電極を付けていく
開頭する前の波形を計測して登録する(術中はこの波形を基準として医師に変化を伝える)
はじめのうちはモニタリングを必要としない為、待機
他の手術室の様子を確認したり、事務作業をします
この時間もまちまちですが、モニタリング開始となります
もう何があろうと手術室から出られません
※よっぽどのことがない限り
長丁場の手術の際は手術が終わるまで医師同様お昼休憩もありません
変わりのCEが交代に来てくれた際は交代でお昼休憩を取ります
1件目の手術が終了、片づけと清掃を行い2件目の入室時間の連絡を待つ
交代がいない場合はここでお昼休憩に入ることもあります
以降は1件目と同様です。
片づけや清掃を行い、夜勤CEに申し送りをして帰宅します
手術室の場合18時や19時に帰宅できたらいいほうです。
定時あがりもたまにありますが、逆に時間を持て余して何をしていいかわからなくなることもしばしばw
しかし、緊急手術や長丁場の手術、手術が難航した場合はもっと遅くまでかかることがあります。
パパも過去に手術が終わったのが午前1時過ぎ、自宅に帰宅したのが午前2時前ということもありました。
夜勤明けにもかかわらず、夜に緊急手術が入り呼び出されたこともありましたw
夜勤業務の1日
電子カルテでICUの患者さんや手術の状況を確認する
各業務担当者に連絡または部署に出向いて申し送り聞く
ICU、NICU、HCUなどの集中治療室とER(救命救急)をラウンド
血液ガス分析装置などに異常がないかを確認
集中治療室に頻繁に出入りしていると看護師とも顔見知りとなり、あいさつがてら世間話をしたり、情報収集をします
夜勤の場合、2時間の休憩時間が設けられています
夕食の時間は決まっていません
あいている時間でパパっと済ませる
呼び出し待機しつつ、輸液ポンプやシリンジポンプの使用後点検を行ったり、何もすることがなかったら知識向上のために勉強したり、事務作業を行っています
どんな医療機器が稼働しているかでラウンド頻度が変わってきます
PCPSなどの補助循環が稼働しているときは3時間ごとにラウンドして数値の確認などを行います
CHDF、人工呼吸器のみの場合はそこまで頻回にはいきません
CHDFに関してはパパの専門分野なので経過具合でどのくらい持つということが予測できます
残りの1時間の休憩時間を使い夜食を食べたり、少し仮眠をとったりします
休憩が終わったら再び呼び出し待機しつつ、輸液ポンプやシリンジポンプの使用後点検を行ったり、何もすることがなかったら知識向上のために勉強したり、事務作業
合間を見てラウンドを行います
HCU、ICU、NICU、手術室の血液ガス分析装置の稼働状況を確認して、その日の手術で使う動脈ラインのキッドを作成します
時間があまったら透析室に行き朝のプライミングの手伝いをしたり、申し送りをします
全体ミーティングに行く途中手術室により、申し送りをします
CE全体ミーティングで夜勤中の出来事の報告を行います。
・新規で人工呼吸器を導入した患者
・発生トラブルとどのように対応したか
・必要に応じて日勤帯で対応してほしいこと
などの申し送りをします
長い夜勤業務を終え、帰宅し寝ます
忙しい夜勤もそうでない夜勤でも疲労度はやばいです
最後に
ざっと3パターンの臨床工学技士の1日を書いてみました。
病院によってさまざまです。
1つの例として臨床工学技士ってこんなことしているんだなというのが伝わればうれしいです。
次回も臨床工学技士に関連したことの記事を書く予定でいます。
というのも、医学的なことをどの段階から書いていったらいいのかわからず考えているためもう少しお待ちください。
来週から医学的なことの記事を書けるよう努力します。
また、こんなことが知りたいなどありましたら、コメントやお問い合わせからご連絡していただけたらありがたいです。